とある紳士の妄想言録

思いついたことを垂れ流すブログです

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 まずは前提の話をしよう。

 この世には人の三大欲求というものが存在する。「食欲」、「睡眠欲」、「性欲」である。「食欲」、つまりは何かを食べたいと思う欲。「睡眠欲」、つまりは体を休めたいという欲。どちらも人間が正常に機能するためには必要不可欠な行動だ。

 では「性欲」は?

 先程のふたつと違い、こちらは満たさなくとも死ぬことはない。それでも尚「性欲」は人間における欲求の最上位に位置している。それは何故か。答えは単純、『快楽』の度数が高いからだろう。「食欲」にせよ「睡眠欲」にせよ「物欲」、「承認欲求」。ありとあらゆる欲すべてが『快楽』に繋がっている。

 私は産まれてから今までずっと男性だったため、女性のことは分からないが男性だけで言えば「性欲」を満たす瞬間の『快楽』は、他の欲の『快楽』とは文字通り桁が違う。

 世間一般で自慰を覚えたばかりの男子中学生のことを猿呼ばわりするが、実際のところその通りである。本当にあの快楽は凄まじいものなのだ。

 と、ここまで男性の快楽について語ったがこれは分からない人向けだ。

 私と同じ男性の諸君であれば恐らく次の文章で事態を理解してくれるはずだ。

 

 私は大学の講義の関係で四日間家に帰れなかったのだ。

 

 理解ってくれただろうか。

 再度言うが男性の諸君なら20歳という歳でこの日数。何を言いたいか想像できるはずだ。

 つまり、だ。

 私は強制禁欲を強いられたのだ。

 本来であれば一日一回はその快楽に身を委ねたいのだが、それが四日間もできない。もちろん「宿ですればいいのでは」という意見もあるだろう。しかし大学側から用意されたのは所謂カプセルホテルであり、私のきったねぇ喘ぎ声など簡単に他の人間の耳に入ってしまう。

 だがここでその激動の四日間を語るには文章では足りないので割愛しよう。

 話はその後、ようやく家に帰宅したところからだ。

 もはや暴発寸前。尿意にすら匹敵する欲求はジーンズに大きなテントを産み出していた。ちなみにジーンズ系の素材が固かったり、ピッチリ系のズボンを履いた状態で戦闘状態に入ると凄く痛い。

 話を戻そう。

 私がもはや帰宅したのは朝と言っても差し支えない時刻であり、連日の睡眠不足によってもうひとつの三大欲求、「睡眠欲」までもが襲っていたのだ。さらには潔癖なのだろう、身体を洗い流さねば布団に入りたくないと感じていたのだ。

 荷物を洗濯機前へ置き、浴槽の清掃に取り掛かる。お湯を張ってもいいだろうというレベルまで汚れを落とし、蛇口を捻って熱湯を貯めていく。少々時間があるため洗濯物を回すだけでもしておこうと、四日分の衣服を洗濯機の中へ詰め込む。あとはボタンを押すだけ。

 どうにか風呂場で寝るという惨事を起こすことなく全裸で布団へダイブする。もはや服を着るという思考さえ放棄した。

 

 そして。ようやくだ。

 ようやく私の左手は、猛々しく聳え立つ聖槍に伸びた。

 この四日間、私のTwitterのTLには無数の激シコ絵が流れていった。その全てにふぁぼを放ち、オカズふぁぼ用の鍵垢で再度ふぁぼっていった。

 垢を切り替え、そのふぁぼ欄をスクロールしていく。人差し指という敏感な段差に添えられる指に力を込める。獣にも似た汚く短い喘ぎ声が部屋に響き渡る。そこでようやく忘れていた存在をふたつ思い出した。

 まずは私の白濁液を受け止めるための存在。いつもであればウェットティッシュ数枚で事足りるのだが今回はそうではない。零れなかった精液を拭き取る役割も、と効率化してる場合ではないのだ。そもそも一日処理しなかった時点でティッシュ数枚など貫通してしまう。同じ経験をして複雑な気持ちになった同志もいるはずだ。

 故に今回のような場合にはキッチンタオルを用いる。一応2枚重ねでだ。しかし前述の通り、拭き取る動作に関してはウェットティッシュでなければならない。そちらの用意もしておく。

 次にふたつ目、窓閉め忘れてたわ。

 文章では端折ったが先程の帰宅タイミングで換気の為に窓を開け、網戸の状態にしておいたのを完全に忘れていた。……喘ぎ声、聞かれてないといいけど。

 

 何はともあれこれで準備は整った。

 もう障壁はこの辺りで十分だろう?

 さぁ、シコれ。

 四日間沈黙と覚醒を繰り返すことしかできかった情熱を吐き出すために。

 

 左の五本の指にそれぞれ異なる力を込める。

 勘違いしてもらっては困るが、私はオナホという存在を失念もしくは苦手としたわけではない。むしろ使いたさはあった。しかし、それ以上に四日間という永久にも等しき時間の中でどれほどの量がこの躰に生み出されたのか。それへの興味があったのだ。

 キーボードを叩くように、音楽にも似た調子で聖槍を解放へと導く。

 もともと予兆があったとはいえ、限界は五分と持たずに目の前に現れた。しかし、この貴重な経験。五分という短さで終えるには物惜しいと思った。しかし萎えさせるというのもどうだろう?

 導き出した行為は先端を掌で擦ることだった。

 少し癖を拗らせた者なら知る人もいるであろう、男性に潮を噴かせるためにやるアレだ。何故これを選んだかと言えば竿の部分に触れないからである。以前Twitterで竿に触れなければ限界に達しないということを目にしたのだ。幸い聖槍の先からは大量の透明な粘液が垂れ続けており、擦ること自体に難はなかった。

 それが良かったのか、良い感じに気分を高めながら臨界点を遠ざけることができた。

 ローションに手を突っ込んだかのようになったべとべとの掌をウェットティッシュで拭き、再度聖槍の竿に左手を添える。もはや次の限界に抗う意思はなかった。このままこの戦いの最後を見届け、布団の上で果てようという確固たる志とも言えるものが生まれていた。

 四日分のふぁぼが潰える。少しでも萎えないようにすぐさまあるアプリを起動し、お気に入りの本を開く。幾度となく私を昂らせた妹近親相姦モノだ。

 展開は知っている。

 それでも。

 この状況においても、最期の刻を迎える瞬間の右手に相応しいのはこれしかなかった。

 そして。

 そして。

 そして。

 これが最後だった。

 無限にすら感じるその大量に吐き出される白濁液は、斜め上から着弾しキッチンペーパーの上を滑り、駆ける。危うく飛び出すところだったが、キッチンペーパーの端を折り曲げていたためそうなることはなかった。もはや感動すら覚えるそのエロ漫画のような現実絶景に、ある思いを馳せた。

 美少女の履いていたパンツのクロッチの内側にこれを出したい。

 恐らく今回の快感の大部分は視覚的なものだったのだろう。それほどペーパータオルすら貫通しようしたその大量の粘着質の液体は圧巻だった。袋の付け根に存在する管を沿うように力を込めて吐き出されなかった精液を押し出す。もはやそれだけで従来の一回分に相当する量だった。

 ウェットティッシュで力を失ってしまった槍を綺麗にし、改めてペーパータオルの上のそれを見る。ボンド、と言われれば信じてしまうレベルの液体。これが自分の中で作り出されたのだ。

 もう一組、ペーパータオルを用意しそれを受け皿に自身の精液を垂らしてみる。

 しかしそれが一向に流れ落ちることはなかった。それほどまでに濃いということだろう。

 何重にもその艶めかしい液体を包み、ゴミ袋へと投げ入れた。と、ここで私は忘却していたもう一つの欲求を思い出し、それを合図にその欲に意識を奪われた。