とある紳士の妄想言録

思いついたことを垂れ流すブログです

はじめて

 2019年10月16日、水曜日。

 今年、齢20を迎えた僕はとある荷物を待っていた。

 それはオナホール

 男性の快楽の為作られた、女性器を模した玩具である。ある人はそれを恋人と呼び、またある人はそれを自分の帰るべき場所とも呼ぶ。高校生以上の健全な男子であればその存在を知らないものはいないだろう。

 それを先日、ネットショップで買ってしまったのだ。

 もともとオナホに興味はあったのだが、初めてはどれがいいのか分からずその一歩を踏み出せずにいた。しかし大学生になり、一人暮らしを始めたからには体験したくはあったのだ。

 そして3日ほど前だろうか。古い友人から今回買ったオナホを紹介された。彼も実際に使用しているとのことで、災害時にピンクローターを送り付けるような変態の言葉は十分信用することができた。

 水曜日の講義は5限までということで家に着くのは18:30となった。必修講義となっている4、5限ではとある展示会に出展する作品を現在グループで作成中だ。もちろん一般の展示会であるため、中途半端なクオリティでは提出できない。残れる人は夜遅くまで残って作品を作っている。

 だが今日だけは残るわけにはいかなかった。

 大事な荷物(オナホ)を受け取らないといけないから、と5限が終わると同時に帰ることはできたのだ。実際、一緒に炬燵も買っていたので嘘ではない。

 だが来ない。

 時刻は既に21時になろうとしていた。配達時間の指定が19時~21時であるため、配達員に本来問題はないのだが、届くものがモノだけに我慢できないものがあった。既に我が息子は禊を終え、今にも爆発しそうなほどそそり立っている。恐らく今ズボンの下にある薄い紺色の布地の前方は大きくシミを作っているはずだ。

 何とか気を静めようと床に敷いた布団にうつ伏せになる。押さえつけられた我が息子が腹部に当たり主張してくる。それはもう中の物を吐き出さない限り収まることはないであろうと思えるほどに、だ。

 うつ伏せになるとこの家では外の足音が聞こえる。というのも学生用アパートというだけあって防音機能はなかなかのものだ。外の金属性の床を踏む音は流石に聞こえるが、逆に言えばそれ以外はほとんど聞こえることはない。また、他の住人は何故か夜間ほとんどいない。

 故にこの夜間に足音が聞こえればそれは配達員のものとなる。

 そして、その時が来る。

 金属を靴底が踏む音。

 心が高鳴る。

 跳ねるように飛び起きた身体は、チャイムが鳴らされるよりも前に玄関にあった。

 荷物を受け取り、印を押す。もはや開封までのことは一瞬のようであり、まともに覚えてさえいない。

 「……おもっ。」

 最初の一言がそれだった。

 興奮が少し静まり、外装を取り、本体のみとなったオナホを持った最初の言葉がそれだった。友人からの勧めだったため、重さなどの詳細な部分は見ていなかった。

 外装に書かれた注意書きを読みながら、爪を丁寧に整えた指でその穴を弄る。早く使ってみたいという気持ちは、我が息子からも焼けるほどに伝わっていたが今回が初めてなのだ。致命的な失敗があってはならない。尚、ズボンとパンツはいつの間にか脱げていた。恐らく荷物を受け取り、扉を閉めたあとの一瞬にも感じたその時間で脱いだのだろう。

 ローションを穴に垂れ流す。このあたりは無知な為、適量やイチモツにかけたほうが良いのか有識者の方に教えを乞いたいところだ。

 ちなみにコンドームの用意こそあったが今回はしなかった。あと片づけが大変ということはいろんな人物から聞いてはいた。だがオナホは初めてなのだ。僕は本物の経験こそあるが一回だけであり、しかもなし崩し的な形で行われた為、その感覚は覚えていないに等しいのだ。

 だからこそ直でその感触を味わいたかったのだ。

 この三日間各所を回り、購入したおかず。ティッシュ

 準備はできた。

 赤く充血した大きく膨らんだ先端と、女性器を模した穴が優しく触れ合う。……冷たい。だがそれすら快感に思える。

 初物だからだろう。赤く彩られた部分を飲み込み、引っかかる。スムーズに入ったのはここまでだった。既に快感は限界に達しようとしていた。爆発の感覚がある程度引くまでオナホを動かすのを辞めた。

 ここで僕はひとつ、不安を拭うことができた。

 それはちゃんと至れるかどうか、ということ。父が居なかった僕は自慰という行為を自分で発見し、自分で発展させた。その結果、一般的な男性のそれとは異なっているのだ。僕の自慰というのは上下に扱くのではなく、左手の五本の指のそれぞれ異なる指圧を用いて絶頂に至るのだ。

 故に一般的な扱きで絶頂に至りづらい僕は、果たしてオナホで至れるのかという不安があったのだ。だがそれは先端を挿入した時点で消え去った。

 左手に力を込め、根元までオナホをねじ込んだ。

 とんでもない快感だった。自分の手とはまた違うそれは簡単に我が息子を果てさせた。

 長い、とても長い射精だった。これまでの人生、数回程度しか感じたことがない量の白濁液が放出されていく感覚が頭に響く。オカズなど必要なかった。そのとてつもない快感に幸福感を得る。

 肉棒に通る管の中の流れの終わりを認識し、息子を引き抜く。先端からは潤滑液と自分の出した白い液体が混ざり合った、粘着質の液体が糸を引く。ボトッ……とその糸が切れ、白濁液が何重にも重なったティッシュの上に音を立てて落ちる。どれだけ出たのだろうとオナホの穴を下に向ける。とろろのような液体が大量にティッシュの上に零れ落ちる。潤滑液は大した量を使わなかった。そこからどれだけ出したのかが算出され、その量に背筋が震える。

 普段であればエロ漫画のようにすぐに二度目などそうそう起こり得ない。だが今回はそのそうそう起こり得ないの例外に当たった。そう、我が息子は依然、天を向いて聳え立っていた。

 「……まだいけるか?」

 そう問う僕の言葉に答えるように我が息子は硬さを増す。

 行ける。俺たち一人ふたりなら。

 再び、その穴に息子を突き刺す。潤滑液の追加こそ行わなかったが、自身の吐精によってその役割は為される筈だ。その予想は間違ってはおらず、二度目ということもありスムーズに奥まで突き刺さった。

 しかし誤算があった。

 それは至った直後だったということ。あまりの興奮に、至った直後の再活動は身を亡ぼすことが頭から抜け落ちていたのだ。

 奥まで一気に突き刺すと同時。身を引き裂くような快楽が全身を駆け巡る。その時点で絶頂しなかった自分を褒めたいぐらいだ。痛みにすら思えるその感覚に耐え、静まると同時に扱き始める。好奇心とはすごいものだと思う。

 だんだんとその激しさを増すオナホの上下運動。今回もオカズなど必要ない。その快楽だけで男性を絶頂へと導く魅惑の穴。こんなものが存在していたのだ。この地球に。

 先程とは違い、絶頂まではなかなかの時間を要した。逆に射精時間と量は短く少ない。それでもいつものものと同等レベルのものだった。

 賢者タイムなど存在しなかった。段々と馴染むと口添えされたオナホがその通り、我が息子に馴染む未来を描く。期待に胸が膨らむ。故にすぐに清掃に取り掛かることができた。一人暮らしの為、風呂場にアダルトグッズを置くことを厭うことはない。穴を下に向けて網の上で乾かす。やはり膣内射精ならぬ樹脂内射精の為、洗うのには時間がかかった。だがそれすらも様式美のように、美しい行為に思える。

 明日も使おうと心に決めパンツとズボンを履く。

 さて、

 炬燵組むか。